シニア向けスマホのデザイン


現在のスマホは、シニア向けスマホを含め、シニアが使うには、ユーザーインターフェイスに多くの問題があります。 ここに、シニアのためには、スマホのユーザーインターフェイスは、こうあって欲しいということをまとめます。

これらは、「シニアのスマホライフ」の内容を、デザインする開発者の立場の人向けに書いたものです。

原理1:画面ロックの導入を簡単に。

シニアは、面倒がって、画面ロックをしない傾向があります。 それは非常に危険です。 購入時のサポート担当者が、生体認証を設定してあげてください。

原理2:アプリのプリインストールは最低限に。

シニアにとっては、多くの場合、電話と連絡先が使えればOKです。 というのも、インターネット活用の手前で止まっているからです。 ところが、現在のPCやシニア向けスマホは、やたら多くのアプリをあらかじめ仕込みます。 起動した画面は、ごみのようなアイコン・言葉であふれています。 これは、シニアにとって、必要な機能を探すときに障害になっています。 ITで便宜を享受できるべきところ、まさにその慣習が、かえって逆に、シニアのスマホ活用やインターネット活用の阻害要因になっています。 プリインストールで儲けたいという企業のすけべ根性は、そもそも無理筋であることを理解し、あきらめてください。 それよりも、シニアユーザが使えることを考慮してあげてください。

さらには、画面を固定して、画面領域を占有するごみアプリを掃除することさえ許さないようなシニア向けスマホは、最低です。

【補足】今のシニア向けスマホの画面構成の問題 ドコモらくらくフォン の場合、d何とかというアプリがこれでもかと画面を多く占めています。これ、何も使わない意味不明なアプリなのに、毎日目にしますよね。 利用料金を払って、ドコモの広告を毎日見ているようなものです。これらが邪魔になって、やりたいことが探せません。おまけに、削除できない。
ほかのシニア向けスマホは、そこまで広告アプリを押し付けません。しかし、電話、カメラは意味が通じるものの、インターネット、Playストア、Googleとか、やはり意味不明ですよね。 ユーザがやりたいことに沿ったアイコンを出せばいいのに、スマホ業界側の枠組み・概念をそのまま露出させているため、 ユーザがやりたいこと(単語の意味を知る、アプリを探す、など)から乖離しているのです。
どちらも、ホーム画面は、ユーザがやりたいことをすぐに探せるようにする、という目的を見失っています。

また、理解できないことをいいことに、要らないサービスOptionをやたらつけさせてサインさせるのも、やめていただきたい。

原理3:アップデートは、わかりやすくガイドするか、なくす。広告、通知は控えめに。

高齢者は、「アップデート」の意味が分かりません。 通知が来ても、わけがわからないので、無視します。 そのうちに、Versionが古くなって、ほかのソフトと整合しなくなり、動作不良を起こします。 高齢者にとっては、そこからはもう買い替えかとなってしまいます。 アップデートが必要な場合、「アップデートとはどういうことか、アップデートは何のためにやる必要があるのか、どうやればいいのか」を中学生にもわかるような表現で、ガイドしてあげてください。

あるいは、主要なロジックをWEBに置き、クライアントのアプリのアップデートを極力少なくしてください。

アプリは、たいてい、広告を出します。 ある場合は、控えめに出せばいいものを、画面のほとんどを占有するような広告を出します。 シニアは、それに対してどうしてよいかわからずに先に進めなくなります。 そこでアプリの利用をあきらめてしまいます。 広告を消すバッテンのアイコンも小さく、押せません。 これでは、シニアには広告の目的は達成できません。 広告はできるだけ出さず、出すにしても、アプリの使用目的を阻害しないくらい控えめに出してください。

システム通知エリアに、小ーさく、新しいアイコンが表れて、通知が来ます。 シニアは気になります。アイコンが意味不明な上に、アイコンが小さくそこをタップするということができません。 気になって、どーうかしてほしい、しかしどうにもできない。 ストレスになります。 そういうのはやめていただきたい。OSをスマホベンダーがカスタマイズできるかどうかの制限だろうとは理解しますが、それは自己都合。 ユーザへの弊害になっています。(1)画面のアイコンやメニューを大きくしているが、システム通知領域を放置しないでください。ユーザにはそこも見える対象です。 (2)アイコンで意味が通じると思わないでください。

原理4:モードは自明に。

高齢者は、設定の類は、うまくできません。 それでもいじっているうちに、お休みモードやマナーモードに設定したりします。 すると、戻せなくなって、LINEの音が出なくなった、とかいうトラブルにはまります。 それらシステムモードの情報は、システム通知エリアのアイコンでは、だめです。 お休みモードは、画面を薄黄色にする(Windowsみたいに)。 マナーモードは、背景に透かし文字で知らせる、などの分かりやすいモード通知方法をとってください。

原理5:アイコンを使わない。コマンド用語を使わない。階層構造は使わない。メニューを使わない。タブナビゲーションは使わない。

アイコン

例えば、シニアは、「?」からHELPを連想することが困難です。 三点リーダーをタップすると画面に掲載できなかった「コマンド」が出てくるとは想像できません。 プラスマークや三角マークをタップすると、何やら展開して新しい詳しい情報が登場してくるとは、想像できません。 アイコンで階層を組むのはやめてください。 必ず、平易な言葉で、情報を提示してください。

コマンド用語

GUIの世界では、機能メニューに使われる用語は、よく、開発者用語でした。 ITの開発とは無縁の高齢者に、それらは外国語と同じです。 目(意識)に入りもしません。 日常的な平易な言葉で、情報を提示してください。

階層構造

例えば、頻繁に見たいWEBページへのショートカットをスマホの画面に置きたい。 それをやるには、いくつかのステップを経て、やっとできます。 例えば、LINEの通知をOFFにしたりONにしたり、設定を変えたい。 そのためにはLINEの設定を探して、メニューを探して、見つけたらやっとできる。 あるいは、設定アイコンから潜りに潜ってやっとできる。 シニアは、そういう複数のステップで、階層構造を潜っての操作というものはできません。 なぜか? (1)試しに「メニューコマンド」をタップして何が起きるかを理解するという試行錯誤による学習を嫌います。(2)また、階層構造は覚えられません。

一方、シニアが頻繁に利用する機能は限られます。 統計を取ればすぐにわかるでしょう。 OSの設計ガイドでは、階層構造を前提にします。 しかし、シニアには向きません。 よく使う機能はすぐに直接的に簡単にできる手段を提供すべきです。

メニュー

シニア向けスマホを操作するのを一緒に見守ってあげます。 ここをタップして...とか言いながら。 すると、よく、タップしたい箇所と別のところをタップしてしまい、期待しない画面に遷移してしまいます。 気持ち、大きく作ってあるはずのシニア向けのスマホのメニューでさえですよ。 シニアは、指先の操作解像度も、落ちます。 メニューをなくし、すべてタイルUIで組むか、音声UIにするか、じゃないでしょうか。

また、三点リーダが、オーバーフローメニューだということは、若い人ならば、試行錯誤で学習できますが、シニアはわけがわからないものは触りません。

タブナビゲーション

LINEで知らずにNewsタブを開いてしまいます。 次回、LINEを開いたら、あれ、変、戻せない。 タブにホームとかトークとかあるのには気づきません。 タブをなくし、メニューをなくし、すべてタイルUIで組むか、音声UIにするか、じゃないでしょうか。

原理6:スマホアプリの状態遷移はユーザビリティテストする

例えば、QRコードリーダーアプリを例にとります。 それを起動します。 用を足した。 次回、またそのアプリを起動します。 そしたら、アプリによっては、前回の認識後の状態のままだったりします。 シニアは、新たにQRコードを読むためにアプリを開きました。 しかし、アプリの状態は、認識後のままで、実は戻る、戻るを何度かしないと初期状態に戻らない。 シニアはそんなことわかりませんし、推察できません。 ユーザの意図と、アプリの状態遷移がマッチしていません。 アプリをリリースするならば、ちゃんと、ユーザビリティテストしてからにしてください。

原理7:文字を大きくしても画面が壊れないこと

高齢者は、たいてい、文字を大きく設定してもらって使います。 ものによっては、それで画面が壊れてしまうアプリがあります。 LINEとか、ホーム、トーク,...のナビゲーションタブが隠れてほとんど見えなくなってしまう。 しかも、LINEは、システムの文字サイズ設定を見ておらず、LINE内でサイズを独自に設定しないといけない。 文字サイズが標準であることを前提にしたプログラムを書かないでください。 また、システムワイドな文字サイズ設定をRespectしてください。

原理8 : IDとパスワードに頼らない

ユーザが、IDとパスワードを記憶している、ないしいつでもメモから取り出せる、という前提は、シニアでは通用しません。 記憶は薄れ、控えは紛失します。 そういう前提で、アプリないし購買契約を設計してください。

原理9:どんなテキスト入力も音声入力を併用する

高齢者は、ソフトキーボードから文字入力するのを、煩わしい、難しい、面倒と感じます。 LINEを利用していても、まずReadOnlyなのです。 入力が面倒だからです。 一方、シニア向けスマホには、システム標準入力キーボードに音声入力を起動する機能がないものがあります。 音声入力機能を備えた入力キーボードを、シニアが追加してインストールするのは無理です。 結果、めったに入力しないで、スマホを利用する、電話しか使わない、LINEは使えるがReadOnlyとなるのです。

原理10 : アプリアイコン上の通知バッジは、デフォルトオフでプルにする、オンにするにはオプトインにする

アプリを作った製作者は、自分たちが出す情報は、ユーザがありがたがると思っているのでようね。 しかし、残念ながらほとんどの情報は、いらないのです。 アプリアイコに表示される通知バッジは、アプリを開いても消えないことがあります。 マークの付いたアイコンの場所でなく、無関係のシステム通知領域を開いて、そこの通知を削除すれば消えることがありますが、そんな飛躍した約束は、高齢者でなくても理解できない。 さらに、高齢者は気になって、邪魔くさいと思っても、設定から通知設定を変更することはできません。 いつまでもバッジが見えてイライラ。 スマホがストレスになります。 シニアのサポートをボランティアしてきて、一番多いリクエストが「これ消して」です。

どういう通知ならプッシュしてほしいか、慎重に検討し、あるいは、インストール時にユーザに選ばせるなど、ユーザがコントロールできるようにしてください。

原理11 : 操作が直感的で、意味と1対1に対応づく

タップは、ボタンを押す日常的な動作と近いので、選択の意味と対応づきます。 ページや地図のスクロールやスワイプは、直感的にわかります。 地図を大きくしたり小さくしたりするするピンチも、直感的に使えます。 それ以外のジェスチャーもしくはそれ以外の直感的な意味のないジェスチャーは、UIを設計した人の作り事でシニアには通じません。

まず、操作の意味とジェスチャーの関係が直感的かどうか? 例えば、電話が来た時に、受けるのを右スワイプでやらせるのがあります。 その場合のスワイプに一体どういう直感的な意味があるのでしょう?  人為的・開発者の都合で決めた約束事です。 日常的に、右スワイプすると受話器が取れるなどという体験はしていません。 長押しで、アプリのメニューが出てきます。 長押しにどういう意味があるのでしょう? 左右スライドで設定のON/OFFを切り替えます。 スライドにどういう意味があるのでしょう。

次に、操作と意味が1対1かどうか。 アプリの削除は、長押ししてから、とやっと覚えました。 今度は写真を削除したい。 長押しします。 軽いタップでメニューが出てきてそこに削除があることなど気づきません。 削除は長押しではなかったの???  操作とその意味は、1対1で対応付けられていないと、使えません。 現状の、タッチを含むGUIは、すでに、複雑すぎます。 現状のスマホのGUIは、PCのGUIをもとにしています。 PCのGUIは、すでに複雑に進化してしまっていました。 そのため、スマホはさらに複雑でわけのわからないものになっています。 改めるべきです。

原理12 : 「マニュアルなしで使えるか?」という黄金律テストを実施する

2011年、老テク研究会が、高齢者がICT(当時はガラケー)の何に困っているかを定量調査しました (https://www.soumu.go.jp/main_content/000115449.pdf)。 50歳以上の340名のデータです。 その中で、情報機器が使いにくい理由が調査されています。 その問題の上位に、マニュアルのことが並んでいます。 ガラケーは昔の話、しかし、スマホになっても、状況は変わっていません。

今のシニア向けスマホは、壮年向けのデバイスと操作インターフェイスを、後でシニア向けに改造して提供しています。 その結果、より複雑になり、マニュアルが厚くなります。 せっかく、タッチで直接操作できて、より直観的なユーザーインターフェイスになった。 もはやマニュアルなしでも使える、しかも高齢者が、そういうレベルになるべきです。